内容説明 優雅だが、どこかうらぶれた男。一見、おとなしそうな若い女。アパートの押入れから漂う、罪の異臭。家族の愛とはなにか。この世の裂け目に堕ちた父娘の過去を圧倒的な筆致で抉りだす。『別册文藝春秋』連載を単行本化。 「桜庭一樹読書日記」文中に、この小説を書いている作者の様子が書かれてて、それを読んだ時から気になってた作品でした。 ‘ひとり暗い部屋にこもって、同じバンドのライブ風景を食い入るように眺める日々を送る。ほとんどものも食べずに‘その世界’に入ってしまうので、浮上したときは随分とやせていた’なんて書いてあるんですよ。そんなにしてまで描き出すものは、一体どんなものなんだろう?と気になってました。 表紙絵も淫靡な感じだし。 どこを見ても「なんかすごそう」と思って読み始めました。 普通の物語だと時系列に書きますが、これはあえて逆から書いてます。 ある男女の別れのシーンからはじまって、遡って二人の関係を描き、そしてラストに二人の出会いが描かれてます。 期待を裏切らずというか、暗くてどこか退廃的な物語です。 この‘おとうさん’がしょっぱなで傘を堂々と万引きするところからしてすごいっすよね。 おとうさんが万引きを!!って。だけど娘からすると、そんな振る舞いはとても彼らしいものであるようで。この二人の、身内であるようでどこかもやもやする、でも他人としては親しすぎる、その関わる人がみな訝るような距離感が絶妙だと思いました。 過去にふたりが犯した過ちと。 ふたりでたどった人生と。 もうこのもつれを解くのは不可能みたいな捩じれた関係が、淡々と冷徹に綴られていきます。 物語の最初のほうはものすごく冷たくて暗くて、ぬめぬめとした粘性を感じるお話なんですが、遡っていくうちにそういうのは段々と薄れていきます。わたしがはっとしたのは最終章なんですが、この物語で一番イノセントな話なんですよ。それまでのイメージを払拭するくらい。 ただ、その中でこのふたりの方向性が確定してまして……このふたりは、運命次第で別の道を歩いたかもしれない、なんてことはありえなくて、もうこの道を辿るしかなかったんだなあと、そう思いました。 これはまた桜庭さん、新境地を開拓しましたね!すごいです。 これからも変化し続けるだろう桜庭さんから目が離せなさそうですね。 そういやこれ直木賞候補にもなってるんだっけ……他のエントリー作品は読めてませんが、これが受賞したらちょっとすごいかもしんない。と思いました。 私の男
|
| << 前記事(2008/01/07) | トップへ | 後記事(2008/01/09)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|---|
桜庭一樹【私の男】
「けっこん、おめでとう。花」 「ありがとう、淳悟。……いま、傘をぬすんだでしょ」 ...続きを見る |
ぱんどらの本箱 2008/01/08 15:14 |
私の男 桜庭一樹
装幀は鈴木成一デザイン室。装画はMARLENE DUMAS Couples(Detail)。初出別冊文藝春秋。 震災孤児の竹中花・9歳は遠縁の腐野淳悟(くさりのじゅんご)・25歳の養子になり、一緒に暮らして15年、24歳と40歳。2008年6月、花の結婚& ...続きを見る |
粋な提案 2008/01/08 17:28 |
『私の男』/桜庭一樹 ○
・・・やられたな。これは致命傷だぞ。大丈夫か、水無月・R。 桜庭さん・・・・スゴイな、あなたは。こんな湿度の高い、粘液のような物語も紡げるとは。 ...続きを見る |
蒼のほとりで書に溺れ。 2008/01/08 21:58 |
私の男(桜庭一樹)
うーわー。どろどろ。 ...続きを見る |
Bookworm 2008/01/09 06:04 |
『私の男』桜庭一樹
私の男 桜庭一樹/文藝春秋 お父さんからは夜の匂いがした。 狂気にみちた愛のもとでは善と悪の境もない。暗い北の海から逃げてきた父と娘の過去を、美しく力強い筆致で抉りだす著者の真骨頂『私の男』。凄かった。圧巻だった。読み進むごとに二人の過去を追ううちに言葉を失い沈みゆく。 ...続きを見る |
ひなたでゆるり 2008/01/09 15:03 |
私の男
JUGEMテーマ:読書 狂気にみちた愛のもとでは善と悪の境もない。暗い北の海から逃げてきた父と娘の過去を、美しく力強い筆致で抉りだす著者の真骨頂 消費されて終わる恋ではなく、人生を搦めとり、心を縛り支配し、死ぬまで離れないと誓える相手がいる不幸と幸福。 優雅で惨めで色気のある淳悟は腐野花(くさりのはな)の養父。物語はアルバムを逆から捲るように、二人の過去へと遡る。震災孤児となった十歳の花を若い淳悟が引き取った。空洞を抱え愛に飢えた親子には、善悪の境も暗い紋別の水平線の彼方。そこで少... ...続きを見る |
ぼちぼち 2008/01/09 21:38 |
私の男 桜庭一樹
私の男桜庭 一樹 (2007/10)文藝春秋この商品の詳細を見る <血の繋がりとは。禁断の愛に溺れる父と娘> ...続きを見る |
それでも本を読む 2008/01/10 20:49 |
「私の男」桜庭一樹
私の男桜庭 一樹 (2007/10)文藝春秋 この商品の詳細を見る 腐野淳悟は、わたしの養父だ。彼がわたしを引き取って育て始めたのは十五年も前のこ&... ...続きを見る |
しんちゃんの買い物帳 2008/01/10 22:01 |
「私の男」桜庭一樹
私の男 桜庭 一樹 JUGEMテーマ:読書 ...続きを見る |
ナナメモ 2008/01/17 22:57 |
私の男
好き、嫌いが分かれそう。 今回の直木賞受賞作品。私は好き。 主人公は腐野花。くさりのはな、と読む。 冒頭は花の結婚式から。 エリートサラリーマンの美郎と結婚するのだ。 花の結婚式に出席する親族はただ一人。 父親の淳悟だけである。 遅刻してきた父にすがって.. ...続きを見る |
これであなたも読書通!話題の本をほぼ日刊... 2008/01/22 14:21 |
『私の男』桜庭一樹
シェアブログ1152に投稿 絆の強さにただただ圧倒される。 ...続きを見る |
栞のさんぽみち 2008/01/25 18:41 |
桜庭一樹の直木賞受賞作「私の男」を読んだ!
第138回直木賞受賞作、桜庭一樹の「私の男」を読みました。もう1週間以上も前に読み終わっていたのですが、書くきっかけがつかめずに、ずるずると過ぎてしまいました。まったくの偶然ですが、今日ジムへ行って、バイクを漕ぐときに手に取った日本経済新聞の「文化欄」に ...続きを見る |
とんとん・にっき 2008/04/09 21:55 |
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
最終章で、家族というものを知らなかったこの2人には、この生き方の他にできなかったんじゃないか…そう思うと哀しさも感じました。 |
藍色 2008/01/08 17:27 |
まみみさん、こんばんは(^^)。 |
水無月・R 2008/01/08 22:04 |
時を遡る構成が効果的な作品でしたね。 |
すずな 2008/01/09 06:10 |
まみみさん、こんにちは! |
リサ 2008/01/09 15:34 |
あ、ごめんなさい。コメントダブってしまいました…。 |
リサ 2008/01/09 15:36 |
>藍色さん |
まみみ 2008/01/09 17:10 |
>すずなさん |
まみみ 2008/01/09 17:17 |
ぬめぬめ。 |
ちきちき 2008/01/09 21:37 |
言われる通り、読んで数日引きずりますよね。テレビ見て笑ってても、ふと気を抜くと「私の男」ワールドに入ってしまう感じ。静かですが、強烈に印象に残る作品でした。 |
まみみ 2008/01/10 20:46 |
こんばんは。 |
しんちゃん 2008/01/10 22:10 |
こんにちは。 |
まみみ 2008/01/12 08:42 |
こんばんは。 |
なな 2008/01/17 23:00 |
こんにちは。 |
まみみ 2008/01/18 09:42 |
こんばんは★ |
Rutile 2008/01/25 18:39 |
これは圧倒されますよね〜 |
まみみ 2008/01/26 20:25 |
| << 前記事(2008/01/07) | トップへ | 後記事(2008/01/09)>> |