「麦ふみクーツェ」 いしいしんじ

麦ふみクーツェ
いしい/しんじ著
新潮社 (2005.8)
通常24時間以内に発送します。


内容説明
数学教師の父とティンパニストの祖父とのささやかな生活。しかし紳士と人から慕われる祖父は、音楽となると常軌を逸したところがあった…。音楽家を目指した少年のビルドゥングスロマン。


いしいさんはすごいなあー。
なんかこの歳でもこうやって素直に「すごい!」と思える人と出会えるのっていい。

まだ二作品しか読んでませんが,いしいさんは「流浪の民」っぽい人たちを
描くことが多いように思います。
そのせいか,また違う理由からなのか。いしいさんの作品は本当に
先がよめない。
そりゃもうびっくりするほどです。
最後までえ?え??そうくるの??
という感じ。

そして話も,辛いことや苦しいことも,きちんと書いてる上で,それでも
読後感はいい…
というかもう感動すら覚える。天才なんじゃないですか。


今回の作品で心に残ったのは,主人公の先生(チェロ弾き)の言葉。

「へんてこはめだつ。めだっていっそうひどいめにあうかもしんない。
でもそれでも,へんてこはわざをみがかなくちゃなんない。」

それに主人公のねこはこう答えます。

「それは,それがつまりへんてこさに誇りをもっていられる,
たったひとつの方法だから」


あたしもわりとへんてこだと思って(そして実際に言われて)来たので
その言葉は心の手の届かない場所にしみこんでいくようでした。
そう,へんてこはわざをみがかなくちゃならない。誇りを失わないためにも。



一作一作結構長いけど,最後まで描ききることはなくて,読者にその後を
想像させる感じなのもまた心にくいです!


すごい!すごい!!
とにかくこの一言です。

最近文庫になって,手に取りやすい値段になってますので未読の方はぜひ!
正直昼飯一回抜いても読む価値はありますよ。
さて,あたしは次どれを読もうかな…

麦ふみクーツェ

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