「キッドナップ・ツアー」 角田光代
内容説明
甲斐性ない、だらしない、お金ない。3N(ナイ)父親とハルのひと夏のユウカイ旅行。奇妙な父と娘の関係がなんだかうらやましい、新進文芸作家の描く、新しい児童文学。
角田さん(の作品)と出会ったきっかけの本です。
もしかしたら,これから読み始めてなかったらこんなにいろいろ
角田さんの本を読んでなかったかもしれない。
っていうくらい好きな作品。
児童文学ってカテゴライズされてるけど,十分大人の鑑賞にもたえます。
夏が来るたびになんとなく読みたくなって読んでるんですけど
謎だらけなんですよね,この作品。以下ちょいネタバレはいるんで,
これから読む人は気をつけて。
・ハル父の出て行った理由
・なんでハルをユウカイしたのか
・結局ユウカイの目的はなんだったのか
などなど。なんとなくわかる気もするんだけど。
ズバリこれ!って明示はされてない。でも,却ってそこがいいのかもしれない。
計画性のない親父と,それに振り回されつつも「お父さんと密度の濃い
ひと夏」を過ごすハル。
ケンカしたり,ハルが勝手にキレたりと,決してなごやかな旅じゃないけど
それぞれのエピソードはすごくキラキラしてました。
個人的には山の上の寺に泊まりに行く話と,夜の海で泳ぐエピソードが
とてもよかった。
あまりによくて,こないだ伊豆で「夜泳ぎ」したくらいですから。
海に浮かんでぼーっと星を見るのは,まじで気持ちよかったです。
ビビりなので,ぬるいと感じるところまでは行けなくて,ハル父がいう
「腰が抜けそうな気持ちよさ」が味わえたのかなんなのかは微妙。
でもまたやりたいなあ。