「賢者はベンチで思索する」 近藤史恵
内容説明
ファミレス常連客のあの老人。でも公園のベンチで見かけるときとあまりにも印象が違うのはなぜ? ファミリーレストラン「ロンド」を舞台に描く、犬と老人と21歳の女の子が挑むミステリー。『別冊文芸春秋』掲載。
amazonでしつこく薦められたのと,ネット上の本読みお友達たちが
よい評価をしていたので読んでみました。
大変読みやすかったです。最近一冊読むのに苦労しまくりだったので
衰えたのかとビビってましたが,単に文章の相性だったみたい。
ページ数じゃなくて,その文章がどれだけ読みやすいかがポイントです。
このお話は,ミステリーと言うにはあまりにもささやかな物事ばかりを
扱っているように見えるんですが。
最後あたりで,このお話の根底部分に関わるでっかいところが既に謎めいて
るんだ!とわかったあたりでちょっと「おお」と思いました。
構成が上手だ。
主人公の久里子ちゃんが,なんだか他人とは思えませんでしたよ…
ものの考え方とか,行動パターンが似てるなぁ。
いや,この子そのものってわけじゃないんですが。あたしの,どっちかというと
かわいい部分はこの子にとっても近いものが。
ええ,あたしにゃ黒い部分もちゃんとあってですね。
そこんとこは久里子ちゃんとは似ても似つかないわけですけどね。
それにはほら,21歳と28歳の間に横たわる経験の差があるっていうか~
(↑たぶんそういう問題ではない)。
読後感もかなりいいし,よいお話でした。近藤さんの他作品も読んでみたいです。