「陽の子雨の子」 豊島ミホ
内容説明
私立の男子中学に通う夕陽、24にしては幼く見える雪枝、15で雪枝に拾われて4年になる聡。初めて夕陽が雪枝の家を訪ねる日、押入れの中には、後ろ手に縛られた聡がいた…。不安と希望の間で揺れる、青春の物語。
豊島ミホさんの作品は,どこか単館上映されてる映画に似ていると思う。
一般受けはしないかもしれないけど,確実に読む人は存在するような
そんな感じ。変に印象に残るような。
そして映画と言えば,なぜか観たい作品が単館系ばかりになるあたし
なので。豊島さんも避けて通れない作家さんです。
今回の作品は。上記内容説明は刺激的に書きすぎてるなぁ。
まあ…この3人が主な登場人物ってのは正しい。でも聡が縛られてたのは
最初だけだし,あとは聡と夕陽が語り手となって,雪枝や自分のことを
語るってな形式で話は進みます。
後ろ手に縛った聡を指して「この人のこと玩具にして,夕陽くんと遊ぼうと
思うんだけど」とか雪枝が言ったときにゃ,正直この話大丈夫かと思いましたが。
表紙からはうかがい知れない隠微で狂ったような話かと。
思っていたより普通に,さわやか…でもないけどドロドロもせずに物語が
進行してほっとしましたよ。
一応‘成長物語’なんだろうなぁ。3人それぞれの。
いまいちつかみきれてないところがあるんで言い切れませんが。
この作品も設定がおよそありえない感じだけど……だけど,こういうこと
がどっかで実際にないとは言い切れないか?
金があって,でも暇で,心に埋められない寂しさがあったらどうだろう?
あたしも家出少年を拾って家で養ったりするかなぁ。
…たぶんしないな。めんどくさいし。ちょっとは興味あるけども。
そんなんするなら普通に恋人か同居人探すよなー。
ああ,でも雪枝は普通に甘んじたくないからこういうことしてんのか。
…24歳ですでに家賃収入だけで生きられる財産があるってだけで
相当普通じゃないと思うんですが。
普通じゃないことに憧れるひとって,経験上言わしてもらうとむやみ
やたらと普通じゃない自分を追求する傾向にあるような。
でもその普通じゃないことも,慣れると普通になるしね。
結果的にどんどんと新しい変なことをしていく悪循環に陥ると。
……なにやら話から大幅にずれてく感じがするんでこのへんで。
上記内容説明でひいてしまって読まない人も多いのかな。いや逆に
あれに惹かれて読んだのに期待はずれだった!って人もいるのか。
あの説明は失敗だと思うな。
内容を全然表してない映画の予告編みたいな感じなんで,惑わされず
に読んでみてください。