「浮世でランチ」 山崎ナオコーラ
内容説明
私がこの会社にいるのは、あとひと月ちょっとだ。いつもひとりで昼ごはんを食べている-。明日の私は、誰とごはんを食べるの? 人が人と関わる意味って何? 25歳の私が「世界」に触れる、一瞬の奇跡とは。
山崎さんはこれが二作目なのに、もうそうは思えないくらい文章がうまいなー。
するするーっと読めるんですよ。すごい。
25歳の丸山君枝は会社を辞めて、ひとりアジアぶらり旅に出る。
タイ、マレーシア、ミャンマー。
行く先々で前職場の先輩、ミカミさんへはがきを書いたりメールを送ったり。
そんな25歳の日々と同時に、主人公の14歳時点での日々が語られます。
そのふたつは一体何の関係があるんだろう?
どうしてふたつの時間軸で物語が語られる必要があるんだろう?と最初は疑問に思うんですが、読んでいるうちに特に気にならなくなってきます。
最後のほうで「ああ、そういう理由が…」ってのにもちゃんと触れられてますしね。
なんというか、…自分自身そうだったんですが14歳のときに考えてた‘25歳’と、実際になってみた‘25歳’ってのはえらいギャップがあったんですよ。想像ではもっとしっかりした大人だったんだが……。なにがどうしてこうなった?
このお話の丸山さんも、14歳と25歳で全然変わっていないところがあります。それはなんなのか。気づくことから人は変化していくんだね……。
終わり方も思い切りハッピーエンド!ってわけではないけれど、ほのかに丸山さんの成長が感じられるものでよかったです。
一作目は題名からして衝撃作でしたが、今回のこれは割と受け入れられやすいんじゃないかなー。なかなかよい作品でした。