「江利子と絶対」 本谷有希子

江利子と絶対
江利子と絶対
posted with 簡単リンクくん at 2006.10.14
本谷 有希子著
講談社 (2003.9)
通常2-3日以内に発送します。


内容説明
引き籠もりの少女・江利子と「絶対」と名付けられた犬のコンビが繰り広げるぬるい日常を姉の視線から描く表題作ほか、悲惨な愛の姿を描く「生垣の女」、小学生と殺人鬼との攻防を描く「暗狩」の全3編を収録。


本谷有希子文学大全集。と銘打たれたこの作品。
200ページ少しの薄い本なんですが、なるほど‘大全集’だけあって、いろんなテイストの作品が盛り込まれてて読み応えがありました。

「江利子と絶対」
ひきこもった妹とその飼い犬の日常が描かれた小品。40Pくらいなんですが、もーのすごく熱いです。本谷さんは、間違ったことは言ってないのにどこか壊れた人とその周囲を描くのがうまいなぁ。真剣なのに妙にユーモラスで、たぶん笑うところじゃないあたりでつい笑ってしまったりも。前向きなひきこもり、今後どうなるのか気になります。

「生垣の女」
これもかなりの衝撃作。生垣の女であるところのアキ子がすごすぎ。こんな壊れた人、普通に外に出歩かせちゃだめだろう!ってなレベルです。この女と、無理やり家に転がり込まれてしまった多田の愛の形…なのかな。ちいぃーっとも心は通い合ってないんですが。
この話も妙に笑えました。人としてどうなの、そこで笑うのは?と自分で思いながらも。

「暗狩」
そして一番長いこの作品。正直こんなに怖いと思っていなくて、油断して読んだらエライ目に。殺人鬼の棲む家に入り込んでしまい、袋のネズミとなって、この殺人鬼と命を懸けたかくれんぼをすることになった小学生3名の話。
前2作と全然雰囲気が違い、ずーっと緊迫した空気が流れてます。この殺人鬼がやってることがまた怖くて……そしてばっちりとイメージしてしまったので、読んだ夜はうなされそうでした。読後感も決していいものじゃないけど、語り手である小学生の一人はこの話を通じて成長を遂げたりもしていて…ううん。成長小説ってこんな形のもありなんだなあ。

本谷さんはご自分のHPに掲載してた小説を、編集者に見出されたとのことですが、そりゃ見出されるだろうなあ。変に印象の強い作品たちです。
つい他の作品も読んでみたくなります。それよりも本谷さんが出演された演劇が観たいな。ちょっとチェックしてみます。

江利子と絶対―本谷有希子文学大全集

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  • 本谷有希子文学大全集 江利子と絶対

    Excerpt:  “文学大全集”という文字に惹きつけられた。この若さで。この厚みで。狙いなのか、大真面目なのか。タイトルと大げさな帯に引けを取らない、絶妙な、けれど過剰な、そんな悪意とユーモアに満ちた世界が描かれてい.. Weblog: まっしろな気持ち racked: 2006-10-29 12:23
  • 『江利子と絶対』本谷有希子

    Excerpt: 江利子と絶対―本谷有希子文学大全集本谷有希子講談社2003-10by G-Tools 引き篭もりの少女・江利子と、“絶対”と名付けられた犬のコンビが繰り広げるぬるい日常を姉の視線から描く表題作『江利.. Weblog: ひなたでゆるり racked: 2006-11-03 00:22
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    Excerpt: 江利子と絶対―本谷有希子文学大全集本谷 有希子 (2003/10)講談社 この商品の詳細を見る 「江利子と絶対」「生垣の女」「暗狩」の3つの短編が収録。 3つなのに「本谷有希子文学大全集」だって.. Weblog: しんちゃんの買い物帳 racked: 2007-04-13 17:03
  • 「江利子と絶対」またまたあっという間に読んでしまった。本谷有希子は男前だ。

    Excerpt: 本谷有希子二十三歳の時の処女短編集。 「江利子と絶対」「生垣の女」「暗狩」の三編。どれも作風が違う。「純文学とエンターティメントの違いもよくわからなかったけど小説ってこんなもんかいな.. Weblog: TWO 2 SIXTY racked: 2008-11-05 03:43