「作家の手紙」 有栖川有栖ほか
内容説明
36人の36通。達人の手紙術とは? 人間でないことがばれて出て行く女の置き手紙、タイプだと思った相手に交際を申し込む手紙、借金申し込みの手紙などを収録する。『野性時代』連載を中心にまとめ単行本化。
作家だからってみながみな手紙の達人というわけでもなかろうて。と思って読み始めたわけですが。やはりみなさん「もの書くことで食ってる人たち」なわけで…まあいろいろと楽しませてもらいました。
このお題を考えたのも各人なのかな?だとしたら書きやすい…けど、これだけジャンルばらばらな手紙が勢ぞろいしてることを考えると、編集者の人が出したお題なんだろうか。そのへんの謎は解けないままなわけですが。
苦情の手紙の書き方について、本当にあざやかに丁寧かつ人の気持ちを害さないような手紙を披露してくれる人がいるかと思いきや、歌野晶午さんみたいに「さ、作品だったんですか?」と思えるような別れの手紙を書く人もいたり。本当に36人それぞれのお話が楽しめます。
全部が全部、実際に使うことがあるか?と問われるとわからないわけですが、「他人はこういうとき、こういうふうな手紙を書くんだな…」というのが垣間見えておもしろかったです。
手紙好きなので余計にかもしれない。読むのも書くのも両方好き。
でも最近はやっぱり手軽にメールで用を済ましてしまったりするので、ことさらに新鮮に楽しめたような気がします。
読むとウソでもいいから(←ウソなのか)手紙を書いてみたくなります。
人間でないことがばれて出ていく女の置き手紙とかね。わたしならどう書くかな……
手紙1通にもその人の人となりが表れておもしろいな、と感じさせてくれる1冊です。