「14歳の本棚 -部活学園編」 角田光代ほか

14歳の本棚 部活学園編
北上 次郎編 / 角田 光代著 / 中沢 けい著 / 森 鴎外著 / 井上 靖著 / 氷室 冴子著 / 川西 蘭著 / 松村 雄策著 / 大岡 昇平著
新潮社 (2007.3)
通常2-3日以内に発送します。


部活学園編だっつうのに、ちゃんと部活動が出てきた話が2話しかなかったってことにやや腰砕け感があったものの、総じて楽しい読み物にしあがっていたと思います。いろんな時代のいろんな14歳の横顔が見られました。1話1話少し感想をば。

空のクロール 角田光代

読みたくねぇなあと思っていたアンソロジー「いじめの時間」に収録されてた作品なようで…主人公がもうこれでもか!てなほどのいじめを受けてます。ほんとにこの年代の女子って怖い!卒業してだいぶ経つというのに、なんかあの陰湿さとか陰険さとか。残虐性をちょっと思い出したな……しかしこういう話書かせるといやにうまいですよね。角田さん…いやもう深くは考えますまい。

ブラス!ブラス!!ブラス!!! 中沢けい

こちらは打って変って割と明るい部活もの。ブラスバンドの面々が、コンクールに向けて練習を繰り返したり緊張感を高めていく様子が描かれてます。そこにちょっと大人の事情とか、退部するかもしれない女子の動向が気になるエッセンスとして加味されつつも、主人公自身はコンクールに、ブラバンに静かに集中していってる…というお話でした。どうも長編の一部抜粋ものらしく、続きが気になる終わり方でした。

ヰタ・セクスアリス(抄) 森鴎外

ヤバい!とかエロい!?とかおどかされて、いままで読んだことなかったこの名著。読んでみて思いましたが。エロいか?これで発禁ってなぁ。昔はのどかな世界だったのネー(遠い目)。主人公が男色好み受けしてたらしく、自らの身を守るために短刀を常に携帯しているエピソードが変に真剣でおかしかったです。いや笑い事じゃないんだろうけども。これも一部だけ抜粋なので、全編どんな話なんだろうなぁ。って別に読まなくてもいいかにゃー??

夏草冬涛(抄) 井上靖

……これは実は一度読んだことあるんですよ。「しろばんば」好きで、その続編!って言われて読んだ…十数年前。内容全然覚えてませんでしたが、ああそんなエピソードあった気がする。というようなアレが描かれてました。14歳で、真の友と出会う主人公のそのくだりが抜粋されてます。この友達たちがたしかすっげーかっこいいんですよね。また読もうかなぁ……

クララ白書(抄) 氷室冴子

氷室さんは実はほとんど読んだことないです。少女小説の草分け的存在であることは知ってたんですが、そういう系統読まない女子(←女子失格?)だったので。でも読んで、人気があったその理由がわかりましたよー楽しいえんため作品でありました。中3から寮生活になった主人公が、寮生たちから課された課題が「誰にも気づかれず45個のドーナツを揚げてのけること」。もう2人の新人とこの難問に挑む!!テンポがいい物語でした。

決戦は金曜日 川西蘭

柔道に燃える男子主人公を、練習中にあざやかに負かしてのけたかわいい女子。どうやらその子は師範の孫(いや娘?)なのだが、最近柔道を辞めたいと言っているという……ならば今度、強い相手と試合して勝ったら辞めてもいいという条件が出され、相手として選ばれたのはなんと主人公!?はたして勝負の行方は…!?と大変気になるヒキで終わってたこの作品。結局どうなったんだぁぁ。ものすごい気になる…これは原作あたるしかないですか?

F列十二番 松村雄策

ビートルズ来日コンサートに行けるかどうかのドキドキから、その当日にかけての物語。ドキドキしてるのに、チケット買う金がないとか友達からの変な呼び出しやらで体力や精神力を削り取られていく主人公…の描き方がリアルだなと思いました。どんっなにはしゃげるイベントがあったとしても、日常のささいなごたごたってどこまでもついてまわるもんね。まあそれらがあるからこそ、ライブ空間での発散があるのかな。そのへんが上手だなと思いました。

青山学院 大岡昇平

異色ぞろいのこの作品集でも一番の異色作はこれですかねえ。作者が青山学院に在学していた折のもろもろが、とても淡々と描かれていました。それも友人関係がどうの、っていうんじゃなくて、中でどんな授業が行われていたかとか、渋谷駅近辺の開発の様子とかとてもリアルな描写が多くてですね。…でもよく考えたら、そういう物理的な変化も14歳くらいの多感な時期には多大な影響を与えますよね。そういう観点で描かれてるらしいですが、うまいこと考えたはんなと思いましたです、ハイ。

14歳の本棚はあと2冊シリーズが出てるようですが…いつ読もうかなあ。題名からくるイメージより、結構どっしり読み応えがあります。しかし初恋友情編や家族兄弟編も気になりますな。またチャレンジしたいと思います。

14歳の本棚 部活学園編―青春小説傑作選

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