「三面記事小説」 角田光代

三面記事小説三面記事小説
角田 光代

文芸春秋 2007-09
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内容説明
バリケードのような家に住む姉夫婦、妻殺害をネットで依頼した愛人の心の軌跡…。誰もが滑り落ちるかもしれない記事の向こうの世界。現実がうみおとした6つの日常のまぼろしを、鮮やかに描いた小説集。

新聞はふだんほとんど読まないのですが、社会面はなんとなくチェックしてます。大きな見出しのものから200字足らずの小さいやつまでざっと見て、ああ世の中では昨日もいろんなことが起きているのだな、と思ってみたり。

んで、そういう事件ってのはたぶん一生自分には関係ないよ!っていう変な確信があったところに、この作品は「関係なくなんかないよ」ってことを目の前につきつけてくる、そんな風に感じました。新聞の一段のみの、傍から見たらそんな大事件に見えないようなものにもそれぞれに背景があって、過去から綿々と続いてきたものを内包している。読み飛ばしてしまいそうな記事にだって語るべきドラマがある。そこを突いて、上手に物語化してみせた角田さんはやっぱりうまいです。

どれも刑事事件(だと思う)を題材にしているものなので、juneさんいうところの「黒角田作品」だと思います。後味もよくない話です。でも主人公やその周りの人たちは、ちょっとは歪んでいたりあんまりいい印象がないにしても、本当にそのへんにいそうな普通の人たちで……そんな人が非日常に足を踏み入れてしまう、踏み入れざるをえなくなってしまう、そこのところが一番怖かったです。だっていつかわたしがそっち側に行ってしまわないとも限らないから。絶対しない!なんて言いきれないから。

事件自体は実際にあったものを使って、お話はフィクションです。って書いてあるけど、なんだか本当にありそうなそのリアルさも怖かった……

これからしばらくの間、社会面を見て背景を想像してしまいそうな気がします。
それが毎日どこかでは発生しているってところに、途方もない厭世感を感じるんですが……いやいや、人生はそんな悪いもんじゃないって(と、昨日のマンガに癒されるワタクシ)。
昨日ちょっとでも気分が上がる作品読んでてほんとよかったです。

三面記事小説

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