「仏果を得ず」 三浦しをん
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内容説明
“好き”が過ぎるとバカになる。でも、そんなバカならなってみたい。文楽に賭ける若手大夫の熱い青春の物語。『小説推理』の連載に加筆修正し単行本化。
発売されてからこっち、「図書館待たないで買う?いやしかし財政厳しいし」とくよくよ悩んでた一冊です。やっとこ手にできたわけですが、おもしろかったです!
あらすじのとおり、文楽の若手の健大夫が主人公です。そんな健が、変人として有名な三味線の兎一郎と組むことになるところから話が始まります。若いけれど文楽にかける情熱はすごい健。でもまだ未熟で、勉強がたりない!と兎一郎に怒られたり、一緒に練習したり。仕事の外では、ボランティアで文楽を教えている小学生のお母さんに一目ぼれし、仕事が手につかなくなったり。若いからこそ悩んだり困惑したりすることもあるわけで、そのへんも上手に書かれてたと思います。
わたし今まで文楽は見たことがなくて、雰囲気しかわかってなかったんですが。そのあたりの描写も上手で、知識がないのに楽しめました。
キャラも全員濃くて、そしていい人たちでした。一番好きだったのはだれかなあ。銀大夫か?
唯一?と思ったところは、作中に出てきて健が気にしてた‘ある人’に関する種明かしが拍子抜けするくらい簡単だったことですか。あんなにひっぱっておいてこれかい!ってちょっと思いました。
話変えまして。
三浦さんは文楽が好きなんだなあ……と読んでてしみじみ思いました。
好きなことについて語るときって、いつもよりも訴えてくるものが違いますよね。それをひしひしと感じました。BLについて書くしをんさんにもすごいものを感じますが。健もだけど、こんなにひとつのものを愛して打ち込むってのに憧れます。わたしは燃え上がるものの、すぐ沈静化するんですよね。頭のどっかにいつも冷静で毒舌ななにかがいるみたいです。
今持ってて読んでないのが、しをんさんの「あやつられ文楽鑑賞」です。先にそれ読んでからこっち読むのが筋なんでしょうが……わたしは「あやつられ~」読んでまたこの作品を読みなおしてみようと思います!