「リリイの籠」 豊島ミホ
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内容説明
絵のモデルを頼んだ加菜に、憧れにも近い感情で惹き付けられていく美術部員の春は…。女の子同士ってむずかしいけれどやっぱり特別。女子高を舞台にキラめく繊細な感情の交差を描きとった、全7編の連作短編集。
女子高ってなんだか怖い感じがします。
男性から見たそれは♪花園♪とか何やらキラキラでふわふわな別天地みたいなイメージがあるみたいですが、それには全く同意できません。女だけでつるましといたらやつらはもう凄いことになりますよ……!!って自分もその一員なんですけど。
んでいきなり思い出したのが、大学の時もらった年賀状。くれた子は確か女子高卒なんですが、「あけましておめでとう」、「今年も仲良くしようね。勝手に(彼氏つくるとか)動いたら許さないから!」(※本当です)って言われてえらいヒキました。こないだ過去の年賀状整理しててそれ見つけたんですが、やっぱりヒキましたね~怖っ!マジ怖っっ!!
でたぶん彼女は今頃はいい奥さんとかになってたりするんでしょうが。アンタなんだかんだ言って結局ぬけがけしてんじゃん!…っていうパワーがないっす。まあお幸せにな。
そしてこの作品。豊島さんは確か女子校に通っていたことはないはずですが、その閉じられた空間で、それでも明るく楽しくまたそうではないことも織り込みつつ学生生活を送っている学生、教師、そして教育実習生なんかの生活や心模様が描かれてます。
豊島さんがいいなとおもうところのひとつに、作品のテイストがあまり明るいものでなかったとしても、自虐的な暗さとか僻みや嫉みをあまり感じさせないとこですか。ご自分のブログも笑えるけどたまに哀しい感じするし。そんなに自分にダメだししなくていいよ!自信持って行けよ!!と励ましてあげたい気持ちになるんですが、作品にその負のオーラとでもいうか、そういうのを出さないのがいいなと。
たぶんそういうの読むと重ーく重ーくなるので、今ほど豊島作品を手に取ることがないと思います。
逆に思い切り「そんなふう」に描くひとは角田光代さんですかねえ~~こちらはもう本当にいやになるくらいリアルにしめっぽくてドロドロで、読んでてこちらの気まで滅入ってくる感じです。なのに読んでしまうんですね~これが筆力ってやつですか?
ええとこれ短編集なんですが、好きな作品を挙げると「ポニーテール・ドリーム」と「やさしい人」です。後者は自分のこういう友達を思い出しました。名前がどうっしてもでてこないんですが…タテハラさん?タテイシさん??高校の卒業アルバムはなぜか紛失してるので大捜索しないとこのもやもやが晴れない!!
現実に女子校通ってたひとや、今通ってるひとにも感想を聞いてみたい作品です。