『少女漫画』 松田奈緒子
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ネット読書お友達のおおきさんが読んでて気になった作品。表紙の雰囲気とか、うーん…と思ったのですが、なんたってホルモーを紹介してくださったおおきさんですから。がんばって期待を保ちながら読みました。
で、読了。よかったです。想像をはるかに超えて。
全6編で構成されているのですが、前の5編がそれぞれ過去の名作漫画である『ベルサイユのばら』 、『ガラスの仮面』 、『パタリロ!』 、『あさきゆめみし』 、『おしゃべり階段』 をモチーフに描かれています。わたしはこのなかでは、『ガラスの仮面』 と、『あさきゆめみし』しか読めてませんが、他のも全部読みたくなりました。いや~、作者のこれらの作品に対する愛やリスペクトがひとかたならんのですよ。で、それが押しつけがましくないんで、ついついつられるというか。
って言ってるうちからレンタルショップで『おしゃべり階段』を探そうとしたらなかったので、とりあえず同じ作者の『天然コケッコー』借りてきました。あとついでに友達おすすめの『おおきく振りかぶって1~9』。…なんかこのペースでいくとすごいことになるような……。
最終話はそれまでの集大成です。
前5話にちょこちょこ出ていた、売れない少女マンガ家が主人公の話なんですが、現実のマンガ家さんってこんななのか、とか、男性漫画家と女性漫画家の間の深い溝とかいろいろ知らないことがわかりました。それ以上に、なんていうか……少女マンガというもの、について深く考えさせられました。わたしも小さい頃から親しんでいて、つらい時に心の奥の方からそっと出てきて励ましてくれる、少女マンガの記憶のかけらたち。
こういうものはきっとそれぞれの女の人の気持ちの中にあって、その気持ちがまた新しい作品につながっていくというその感じ。
なんだか読んでいて心がふるえました。
全6編ともすごいレベルの高さです。どれが好きとか選べない。
友達や妹なんかにも無理やりにでも読ませたい(←迷惑)作品です。
絵柄がなんだし、有名じゃないから読んでない人が大多数でしょうが、少女マンガ好きなら、あるいはこの作品の短編のモデルになってる名作漫画のどれかひとつでも好きなら、読んで損はないですきっと。