「楽園に間借り」 黒澤珠々

楽園に間借り楽園に間借り
黒澤 珠々

角川書店 2007-09
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内容説明
【野性時代青春文学大賞(第3回)】ちょっと賢そうな顔とお尻に入れたムーミンの刺青だけが取り柄。恋人に養われる百輔くん(27歳無職)の、毎日がガケっぷちだけど不思議にハッピーなパラサイト・ラヴ&ライフ! 『野生時代』掲載を単行本化。


仕事をしないで生活していくためならなんでもする、それがモットーの27歳無職青年のヒモ生活を描いた物語。こう書くと「えー……」とひく人もいるでしょうが、そんな嫌悪感なく読み進められる不思議な作品でした。
主人公の百輔が基本的にいいやつだからですかね。
ヒモだけどわきまえてるっていうか、必要最小限以上の金はせびらないし。
人間としての心もちゃんと持ってるし。だからこの生活がつらく感じたりすることもあったりなかったり。
そのへんが、天下の非道野郎・ルイ(もっとすごいヒモ)やその他のヒモキャラとは一線を画してるといいますか。でもなんだかんだいって、ヒモ生活を続けるんだから百輔もヒドいっちゃヒドいか。

まあそんな百輔が、ルイにつきまとわれたり、激務でボロボロの彼女をいたわったり、故郷から出てきた実姉に説教されたり、バイトしながら夢を追いかけてる幼なじみにちょっかいかけたりしている、そんな日々が淡々とつづられています。

デビュー作とは思えないくらい文章が達者で、特に大きな展開がないのに飽きずに読めます。

大きな展開はないけど、どうなるか読めないつくりでした。特に最後のあたり。
ええっ、あれ伏線だったの!?ええっ、そこでそんな行動に??と、怒涛のように終焉に向かっていく様は圧巻でした。ラストのこのさみしいようなやるせないような読後感もいいです。

この作品読むとき、「最後のページナンバーを確認しようとしてうっかり結末を見てしまう」という失敗をやらかした(←頻繁)んですが、そのとき勝手に脳内で追加訂正されてた箇所がありまして。それによるともう見てられないようなラストになるはずだったんですが、実際はまだちょこっとだけ救いがあってよかったです。無駄にドキドキしたわ。


堂々たるヒモ作品でこの業界に殴りこみをかけた黒澤さんの、次回作が楽しみです。

楽園に間借り

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