「九つの、物語」 橋本紡

九つの、物語九つの、物語
橋本 紡

集英社 2008-03
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内容説明
ある日突然、「いないはずの」お兄ちゃんが帰ってきた。温かな時間は、ゆきなが失っていた「ある記憶」によって崩壊していく…。繊細で壊れやすい心に響く、生きることの愛しさに溢れた9つの物語。

おぉう。これはいいですね。
今まで読んだ橋本作品では、一番好きな一冊かも。

大学生の女の子・ゆきなとそのお兄さんの日常を丁寧に描いたお話です。料理上手のお兄ちゃんの手料理に舌鼓をうったり、お兄ちゃんの部屋にある古い文庫本を読んだりして、お兄ちゃんに甘えつつ片方で彼氏とゆっくり愛情を育んだり、けんかしたりもしたりして。あの時期特有の、自由だけど守られた閉じた空間の、陽だまりみたいなやさしさに主人公はつつまれてます。

まあ不思議なことはあるものの、特にでかい事件も起こらず終わるのかなーと思ってたら後半にきました。
最後は怒涛のような展開です。
まあなんとなく流れは読めてたんで、泣くほどまでにはいかなかったんですが…例の別れのシーンはやっぱりうるっときますね。
もっと若い純粋なころに読んでたら、号泣してたのかも。若人の感想も聞いてみたいものです。

最後がそんなふうだからこそ、前半で描かれてた情景のひとつひとつがより温かくみえました。

このお話、一章ずつ古い名作のタイトルがつけられてるんですが、…ほとんど読んでない自分がなんか恥ずかしかったです。泉鏡花とか田山花袋って読んでないんだよな。こういうの読む適齢期っていつなんですかね。中高大学生のときは読んでも意味がわかんないけど、社会人になったらゆっくり読む時間もないっつーか。いいわけですか。
でも『山椒魚』はラストが2パターンあるって知ったのでちょっと読んでみたいです。

毎度ながらご飯もとってもおいしそうでした。
禎文兄やんのレシピの中でも、特にこれは知っておきたかった「禎文式トマトスパゲティ」のおおまかなやつを最終章に載っけてくれてたのもよかったなぁ……これは絶対試す。そして(哀しいほどに)数少ないマイ・レパートリーに加えてみせようじゃありませんか。

このトマトスパゲティをはむはむ食べるごとに、「ああ、そういえばこのパスタはあの作品の…」って思いだすと思う。やっぱり味覚や触覚に訴えかける作品は強いな~~。

うんうん、いいお話でした。い、いやご飯がおいしそうだからってだけではなく!(←墓穴)

九つの、物語

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