「恋人たち」 野中柊

恋人たち恋人たち
野中 柊

講談社 2008-05-28
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内容説明
画家の彩夏を、優しく包む大貫。盲目の舞子を、さりげなく支える恭一。一枚の古い写真とマチスの画集が4人を出会わせた。2組の恋人達の間に、はぐくまれる絆と優しい時間。どこまでも凛とした恋の形を描く長編小説。

野中さんの本は、実は心模様によって読めない時があります。ざわざわしてたり、どっぷり疲れてたり、厭世的になってるときはもう全然読めない。逆にのほほんと、心穏やかなときに読むと心にしみこむように楽しめるというか……それは全作に通じる、生活臭のない作品観と関係があるんでしょう。きっと。

今回も主な登場人物は、パトロンのいる(っていうと語弊があるかな)画家の女の子と、その恋人。そして昔の事故で失明した女の子と、その恋人が、とあるきっかけで出会って、親しくなっていくというお話です。

ここに描かれるふたつの恋人たちの形は、世間一般で普通といわれるところのそれと比べるとどこか歪な感じがするのは否めません。でも、それでも十分幸せそうで、いいなあと感じさせるものがあって……作品中に、恭一が「幸せはどれも似ているけれど、不幸はそれぞれ違う」みたいなことを思うシーンがあるんですが、それとこれの対比もおもしろいなと思いました。きみらの幸せは、ふたつとも似てないよっていう。え?ってことは実は不幸せなのか?
…うむむ、奥が深い。

雨のシーンが印象的に使われてました。何か展開があるときだけに関わらず、普通の生活に溶け込んでいるような雨も、そこだけふと目を止めさせる何かがあるというか。…最近雨続きでどんよりしてたんですが、こころもち次第で素敵に感じられるものよのう…としみじみ思いました。

あと毎度ながらご飯がおいしそうです。このご飯をおいしそうに描写するのって、何かのブームなんですかね?最近妙に目につく気がするんですが。え、あたしが単にいじきたないだけですか?でも本当においしそうでしたよ。野中さんにしては珍しく和食もでてきて、おぉこっちもいけるクチなのねと思ったり思わなかったり。

最後も余韻の残るいいラストでした。べた甘!とかではないけど、いい恋愛小説でした。

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