「婚礼、葬礼、その他」 津村記久子
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内容説明
友人の結婚式に出席中、なぜか上司の親の葬儀に呼び出されてしまったOLのヨシノ。彼女のてんやわんやな一日を描く表題作のほか、若者たちの群像小説「冷たい十字路」を併録。
相変わらずおもしろいね、の津村さんです。なんだかこの人のテンションはわたしのそれとすごくあうなぁ。
でもあれだね、上の内容説明ってないよね。「なぜか」もなにもなくない?上司の親の葬儀だったら呼び出されるよねえ?え、うちの職場だけ?
なんといいますか、あれこれといろんなことがヨシノに降りかかってくる様子を傍から眺めるわたしの耳には、クラシックの‘ボレロ’が流れていましたです。あのだんだん盛り上がっていく感じがこの話に似てるなーと思いまして。ラストはちょっと違うけれども。
基本的にはとてもいい子なヨシノが、てんやわんや最高潮(葬儀会場のトイレ個室にこもって、泥酔状態の先輩に代わって携帯ごしに結婚祝いのスピーチをやってのけている最中、故人の愛人ふたりがトイレで乱闘になるシーン)のときに見せたキレっぷりに一番笑いました。そりゃね、キレるよね。
そこからまるで知らない、でも話を聞くにつけ全然惜しむ気にもならない故人の通夜の最中に、関係のないはずのヨシノが号泣するシーンまでのつなぎがとても自然でうまいなと思いました。そりゃ泣くかもな、っていうね。
どこかで本当にこういうシーンがありそうなのもまた上手でした。
これ単館系の映画に誰かしてくれないかなあ。うまく映像化してくれるんなら、映画無精のわたしですが絶対見に行きたいと思います。