「岸辺の旅」 湯本香樹実

岸辺の旅岸辺の旅

文藝春秋 2010-02
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内容説明
3年間失踪中の夫がある夜ふいに帰ってくる。ただしその身は遠い水底で蟹に喰われたという。妻は、彼とともに死後の軌跡をさかのぼる旅に出る―。『文學界』掲載に加筆して単行本化。


あらすじを読んだだけで、なんだかこころが音もなく波立つような、そんな気持ちがしました。

夜中にしらたまをつくっていたら、3年間不在だった夫がふいに立ちあらわれて。帰ってきたのかと思いきや、どうやらもうこの世のものではない、と。「そう」なってから、なるべく急いで帰ったけれどこんな年月が経ってしまったという夫とともに、その3年の間、立ち寄った場所を逆にまわる旅に出ることにする、というのが序章です。

全編とおしてひっそりとした印象を受けるのは、やはりテーマがテーマだからでしょうか。
夏のまばゆい陽光が描かれていても、それはどこまでも淡いというか…
夜の海辺で静かに語り合うシーンだとか、夫の影が夜よりも暗かったとか、そういう部分のインパクトのほうがずっと強かったです。

この旅は、夫の鎮魂のためのものだったのでしょうか?
それとも傷つき疲れ果てていた妻が、少しずつ癒され前向きに生きていく力をつけるため?
最後のランデブー?

うーん、どれも違うようで、どれも当たっているような……でもどういう目的にせよ、もう二度と元の生活には戻れないという哀しさが、とても切なかったです。


読んでる最中、数年前に見た夢を急に思い出しました。
なんでかしらないけど自分がもう死んでて、真夏で、白いワンピースかなんかを着て外にたってるんだけど、太陽がまぶしくて、それに照らされた地面が白くて、木陰が暗くて、その境にたつ自分の足が透けてて。足を通過する光と影をじっと見ているーとかそんなやつだった。
地味な夢なのにやたら切なくて(死んでるって自覚があったから?)、起きてしばらくぼーっとしたんだった。

あと小さいころ読んでもらった死んでしまった妻を死者の国に連れ戻しに行った夫の話も思い出しました。なんていう題名でしたっけ…有名な話だと思うんですが。。あれって結局最後の最後で夫が振り向いてしまって、妻はまた死者の国に帰ってしまったんですよね。


この「岸辺の旅」のふたりの旅の結末。それは読んでみて確認してみてください。

これもおすすめカテに入れようかどうしようか悩んだんですが…全体のこの暗いトーンが好きなので入れておくことにします。
しかし最近暗めの話多いですね。なんでか。
ぱーっと笑えるのが読みたいんですが…今手持ちの本でそういうのがないな~。ま、では漫画でそのあたりは補充することにします。





岸辺の旅
文藝春秋
湯本 香樹実

ユーザレビュー:
夜空に寄り添う、ふた ...
哀しく切ない夢のよう ...

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