「ふたりの距離の概算」 米澤穂信

ふたりの距離の概算ふたりの距離の概算
米澤 穂信

角川書店(角川グループパブリッシング) 2010-06-26
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内容紹介
春を迎え、奉太郎たち古典部に新入生・大日向友子が仮入部することに。だが彼女は本入部直前、急に辞めると告げてきた。入部締切日のマラソン大会で、奉太郎は長距離を走りながら新入生の心変わりの真相を推理する!


やっと出ました……本当に待ちかねましたよ。
今調べたら前作出てから2年半も経つようで。に、2年半もですか!?←自分で言って驚くひと

しかし登場人物たちの時間はそんなには進んでおりません。前作が1年生最後の春休みで終わって、今作が2年生に進級してまもなくだから……約1か月ですか。その間にもまあ、いろいろあったようです。そのいろいろが描かれています。

なんというか、何を書いてもネタばれになりそうなので感想が難しいですが……ひとことで言うならば「上手い!」でしょうか。デビュー作からずっとこのシリーズ追いかけてますが、順に読むとそれがよくわかります。最初からうまいな(地味だけど)と思っていましたが。さらに緻密に、よく練られた構成になっていると思います。
全編通しての謎がひとつあり、また章ごとに謎がひとつずつある。その仕組みはわかっているんです。わかっているのに、気づくとその章ごとの謎に気をとられていて、肝心の大切なヒントをスルーしてるんですよね……ちゃんと書いてあるのに。なんだか手品を見せられたような気分です。それにうっかり、しかし何度も騙されてしまうわたしはやはり単純なんでしょうね。いい客なんだろうなあ。

気を取られたのは謎にだけじゃないです。さらっと描かれてますが、変化している古典部のメンバーの関係性にも大層衝撃を受けました。ええっ、いつの間にそんなことになってんの!?とか。前作読んでだいぶん経つので自信がありませんが、新情報があります。思わずニヤリとするものも。……逆にちょっと残念なような、複雑な気持ちになるものも。

あとは……やはりこの読後感ですかね、独特なのは。こういうのは米澤さんらしいなと思います。詳しく書くとネタばれになるので控えますが、すごく余韻が残るというか。でも、大変おもしろかったのは事実です。満足しました。


いちおうデビュー作から追っかけてるファンのひとりですが、盲目的に好きなわけではなく。
むしろやいやい言いたい作家さんのひとりです。「高校生はそんな言い方しねー!」とか「それ格好いいと思ってる?」とか。うちの妹なんざ(前に書いたと思いますが)、米澤さんを「穂信」よばわりしてますからね。親しい友人でも呼び捨てしない子が……。それでも読むのは、やっぱり期待してるから。このひとならやってくれると思わせてくれるものを持っているからだと思います。

今回はその期待に見事にこたえてもらえました。このシリーズはしみじみ好きだな、そう思えました。
次巻が出るまでまた待たされるんでしょうが、気長に待とうと思います。
その分楽しめる作品であることを信じて。←圧力?
既刊の分を繰り返し読むのもいいかもしれませんね。とりあえず前作の「遠まわりする雛」をもう一度、近いうちに読めたらいいなと思います。

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  • 「ふたりの距離の概算」米澤穂信

    Excerpt: ふたりの距離の概算クチコミを見る 古典部シリーズももう5冊目なのですね。「遠回りする雛」がよかったのですごく楽しみにしてました。 舞台が20キロを走るマラソン大会で、途中に回想シーンが挟まれる.. Weblog: 本のある生活 racked: 2010-11-06 21:53